大阪高等裁判所 昭和60年(行コ)10号 判決
京都府亀岡市三宅町五七番地三六
控訴人
亡間野藤太郎訴訟継承人
間野種一
同市篠町篠か観音芝九の三三
控訴人
亡間野藤太郎訴訟継承人
間野鐘一
同市篠町柏原中又五八番地五
控訴人
亡間野藤太郎訴訟継承人
宇品昭子
右三名訴訟代理人弁護士
高田良爾
京都府船井郡園部町小山東町溝辺二一番地二
被訴訟人
園部税務署長
菊池和夫
右指定代理人
佐山雅彦
同
谷川利明
同
幸田郁夫
同
盛田正昭
主文
本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
一 当事者の求めた判決
控訴人ら
原判決を取消す。
被控訴人が昭和五二年一二月二六日付けで間野勝太郎に対してした、同人の昭和四九年分ないし昭和五一年分の所得税更正決定のうち、昭和四九年分の総所得金額が一四四万五〇〇〇円、昭和五〇年分の総所得金額が一四五万円、昭和五一年分の総所得金額が二〇二万五〇〇〇円を、いずれも超える部分及び過少申告加算税賦課決定の全部を取消す。
控訴費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
被控訴人
主文同旨
二 当事者の主張
当事者双方の主張は、次のとおり付加するほか原判決事実摘示と同一であるから、こゝにこれを引用する(たヾし、原判決四枚目表末行「原告」を「間野藤太郎」と、その余の「原告」を「原告ら」と改める。)
1 控訴人らの主張
被控訴人が原価率、所得率の算定のため選定した同業者は、その売上金額、業態、経営形態において類似性に相当の開きがある。すなわち、本件各係争年分の売上金額は、間野藤太郎のそれと比較して著しく異り、その業態についても間野藤太郎と同じく厨房器具の販売・据付工事、ガス配管工事、給水・給湯配管工事、衛生設備工事は全く行っていない。さらに間野藤太郎は亀岡と園部の二店舗を経営しているのであって、経営形態においても異なっている。従って、これら同業者の原価率、所得率を適用した推計方法は合理性を欠き、違法である。
2 被控訴人の主張
(一) 被控訴人は、原審において間野藤太郎の仕入先と仕入金額の明細に関し、昭和五一年分の「その他現金仕入」が二一万七九三九円であると主張していた(原判決四枚目表末行、別表2)が、これを二一万〇七六九円と改める(したがって、原判決添付別紙2「仕入金額の明細表」の五一年分の「その他小口現金仕入」欄を「二一〇、七六九」と「合計」欄を「五四、六三八、一七四」と各訂正する。
(二) 推計課税において、同業者率の平均値による推計を許容し得る以上、当該同業者間に通常存在する程度の営業条件の差異は平均値の中に吸収され、捨象されたものとして無視することもやむを得ないと言わざるを得ない。したがって、納税者側に存する営業条件のいかんは、それが当該平均値による推計を根本的に不当ならしめる程に顕著なものであることの立証のない限り、これをしんしゃくするを要しない。被控訴人が選定した同業者は立地条件、業種、業態において間野藤太郎の営業と類似性を有し、推計の方法は合理性を有するというべきである。
三 証拠関係
当事者双方の証拠は、原審及び当審の訴訟記録中の書証目録及び証人等目録に記載のとおりであるから、こゝにこれを引用する。
理由
一 当裁判所も、当審における主張及び証拠を加え審究するも、控訴人らの本訴請求は理由がないと判断するものであって、その理由は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決理由の説示と同一であるから、こゝにこれを引用する。
1 原判決一三枚目表一〇、一一行目「被告主張額は、二一万七九三九円」を「右に同じ」と改める。
2 同一四枚目裏六行目の次行に左の一項を加える。
「控訴人らは、被控訴人が選定した同業者はその類似性に相当の開きがあるとして、推計方法の非合理性を主張するが、同業者間に通常存在する程度の営業条件の差異は、平均値の中に吸収、捨象されたものとして無視することもやむを得ないといわざるを得ず、それが該平均値による推計を根本的に不当ならしめる程に顕著なものでない限り、これをしんしゃくするを要しないと解するのが相当であるところ、原審(第一、二回)及び当審における控訴人間野種一本人尋問の結果によっても右顕著な不当性を認めるに足らず、他にこれを認めるに足る証拠はない。」
3 同一五枚目裏七行目「原告間野種一」の前に「原審及び当審における」を、同行末尾括弧内(第一」の前に「原審は」を、同一六枚目裏二行目冒頭「原告」の次に「間野種一」を各加える。
二 よって、原判決は相当であって、本件訴訟は理由がないから、いずれもこれを棄却することとして、民訴法三八四条、八九条、九五条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小林定人 裁判官 坂上弘 裁判官 伊藤俊光)